2006年07月06日

「涙腺の下腹部」第二章3・人魚の自慰

ぴかぴか(新しい)第二章3・人魚の自慰ぴかぴか(新しい)




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 独り寝の夜が更ける・・・

私と夫は結婚してから一度も寝室を共にした事がない。

 寝苦しい夜・・・
私は月の光に照らされるマリッジリングの輝きを見つめていた。
ダイヤモンドは艶やかに光り、堅く直立していた・・・
それを眺めていると突然黒い雨雲が私の心へ訪問を果たし、虚しい気分になり苛立ちを覚えた。

 ふと、一月ほど前に夫が職場の同僚に電話で言った言葉を思い出した。

「いや、子供は無理なんだよ。嫁さん・・・不妊症だったんだ」
夫の人生は虚偽という鎧で固められている・・・
すっかり不機嫌な記憶に絡みつかれてしまった私は、嘘つきから貰ったマリッジリングを左の薬指からスルリと外し右手の薬指にはめ直した。右手の薬指には少しきつかったが無理やり指の根本までマリッジリングを押し込んだ。

 憎たらしい苛立ちに囲まれ眠る事が出来なくなった私は、微かな月の明かりさえも疎ましく思え、ブランケットを目深に被りベットの巣へ潜り込んでしまった・・・

 クリーム色のブランケットからは洗濯したてでもないのにさわやかな洗剤の香りがした。

 けして精液の匂いも染み込む事の無いブランケットが哀れになった。
私は苛立ちを抑える為に足をバタつかせてベットの上でもがき泳いだ。
幼い頃、両親に叱られるといつもこうして独りベットで泳いで鬱憤を晴らしていた。

 私の涙がシーツに零れる・・・
 一粒・・・
 二粒・・・
 終わりを知らない私の涙・・・

涙でベットを海に変えられるかも知れない・・・
涙の海で哀しいウロコを輝かせて泳ぐ・・・
人間に恋をした人魚・・・
そう、いっそのこと人魚になれたら良いのに。

 魚の下腹部は愛撫を求めることは無いだろう。
濡れて疼くことは無いだろう。



 私は発熱した下腹部にそっと指で触れてみた・・・

溜息が私の唇から零れるまで・・・









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posted by ジュエル・ジュジュ at 11:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ★「涙腺の下腹部」第二章★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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